240: 寒山詩集
目次 < >

天台山に隠れ棲む寒山、拾得、豊干の詩集。「三隠集」ともいう。唐末五代にその一部が知られ、宋代に入ってほぼ現形となる。その詩の流行とともに、三隠の伝説もまたしだいに発展した。『大平広記』五十五や『宋高僧伝』十九、『伝灯録』二十七等の寒山伝はその初期に属し、淳熙十六年(一一八九)に志南がまとめた「天台山国清寺三隠集記」や、閭丘胤撰する「寒山詩集序」はその後期の姿を示す。この詩集の成立は、それらの伝説と切り離せない。『唐書芸文志』は、すでに七巻本の存在を伝えるが、今日われわれに見るこ とのできるテキストは宋代以後のものであり、おおよそ次の六種となる。

  1. 宋版寒山詩集 一巻 豊干拾得詩附 宮内庁書陵部蔵(昭和三年、審美書院覆印)

    この本は、はじめに観音比丘無我慧身が聖制古文によって補った首欠の序と、閭丘胤の序があり、ついで朱晦庵与南老帖、陸放翁与明老帖を附し、本文七十二葉の末尾に山中旧本云々の刊記あり、さらに禹穴沙門志南が撰する前述の「三隠集記」、および華山可明の跋がついている。可明の跋は、屠維赤奮若の年に書かれていて、おそらくは紹定二年(一二二九)に当り、これが現存最古のこの詩集の開版年時である。

  2. 寒山詩集 一巻、附豊干拾得詩 民国五年(一九一六)、張鈞衡輯「択是居叢書」初集
  3. 寒山詩 一巻、附拾得詩一巻 民国十八年、商務印書館「四部叢刊」集部(景建徳周氏蔵景宋刊本)
  4. 五山版寒山集 一巻 正中二年(一三二五)、宗沢禅尼刊

    大谷大学図書館蔵。別に昭和三十三年に、石井光雄が家蔵の本によって覆したものあるも、拾得、豊干の詩を欠く。

  5. 朝鮮版寒山詩 一巻(版心は三隠)元貞丙申(一二九六)、郭&C6-243D;刊

    杭州銭塘門裏車橋南大街郭宅紙鋪印行のテキストの重刊。この本は、後半に『慈受深和尚擬寒山詩』を付す。かつて、3の「四部叢刊」初印の底本とされたもの。

  6. 御選妙覚普度和聖寒山大士詩、御選円覚慈度合聖拾得大士詩 一巻

    『御選語録』三に収めるもの。雍正十一年(一七三三)の「御製序」を冠し、末尾に豊干詩を付す。

  7. 『寒山詩』は、清の「四庫全書」にも入るが、その「総目提要」百四十九の説明はすこぶる不備である。むしろ、この作品は中世以来の日本人に愛誦され、多数の注釈書を生む。次にその代表的なものを掲げる。

  8. 寒山詩管解 七巻 連山交易撰、寛文十二年(一六七二)刊   「寒山詩集管解」「寒山詩意抄」「寒山子詩集管解」ともいう。
  9. 寒山詩索&C0-F0F3; 三巻 大鼎撰、文化十二年(一八一五)刊
  10. 寒山詩闡提紀聞 三巻 白隠慧鶴編、延亨三年(一七四六)刊(「白隠和尚全集」四)
  11. 寒山詩 一巻 太田悌蔵訳註、昭和九年刊(岩波文庫)
  12. 寒山 一巻 入矢義高注、昭和三十三年、岩波書店刊(中国詩人選集5)
  13. 寒山詩 一巻 入谷仙介·松村&C3-2D22;訳注、昭和四十五年、筑摩書房刊(禅の語録13)

最後に、左の部分訳一篇あり。