045: 大乗無生方便門、大乗五方便北宗
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各一巻

北宗系の禅宗綱要書の一つで、特に授戒作法を説く。二種の名があり、内容もかなり異なるが、同じ思想の発展過程を示すものとみてよい。古来、圭峰宗密の『円覚経大疏鈔』三之下に、神秀を祖とする北宗禅の大意を述べ、「払塵看浄、方便通経」の根拠を、『起信論』『維摩経』『法華経』『思益経』『華厳経』という五種大乗経論に求め、仏体、智慧、不思議法、正性、無異の五門を明かす説のあることを伝えたが、敦煌本の発見によってその全貌を知るに至ったもの。最初の紹介は矢吹慶輝であり(『シュタイン氏蒐集敦煌地方 出古写仏典ロートグラフ解説目録』)、首欠断片のうえに、「大正大蔵経」八十五巻の校訂はかなり不備であるが、ついで久野芳隆の「流動性に富む唐代の禅宗典籍――敦煌出土本に於ける南禅北宗の代表的作品――」(「宗教研究」新十四−一、「大正大学学報」三−三一)により、宇井伯寿の校訂が発表された(『禅宗史研究』)。また、鈴木大拙の校訂本が『禅思想史研究第三』(全集三)に収められている。